不幸
『不幸って言うのは他人の同情を引く。お前が悲しんでいれば悲しんでいるだけ、人はお前に優しくするんだ。でもな、人って言うのはそれが長く続くけば段々鬱陶しさを感じたりする。初めはフリだけでもいい。乗り越えたように見せなさい。』
中村文則 遮光 のこの一文を読んだ時、
あ、あー、あ、ああ、とよくわからない、声になっていないような吐息みたいなものがでた。
それからいっときして、そうか、そうかもなと思えた。
うまくいかない。うまくいかないと言えば最初は誰か聞いてくれるかもしれない。
でもそのうち誰も聞いてくれなる。そして、あいつ口開けば愚痴ばっかだよなと悪口を叩かれるだろうな。
フリでいい。何か前を向いているようなこと、口だけでも少しでもやろう。
何か残せるよう。